介護技能実習生

介護職種が技能実習に追加されたのは2017年11月ですが、2020年1月末時点で技能実習計画申請件数10,225件、計画認定件数8,652件、さらに2020年10月末時点では申請件数20,005件、認定件数18,034件まで増えています。

制度への職種追加からわずか3年間で20,000人を超える介護技能実習生の受け入れ申請が行われていることになります。

新型コロナウィルスによる出入国規制の影響が懸念されますが、長い目で見れば今後さらに増加していくことは間違いありません。

介護実習生の受入れ要件は?

技能実習制度本体のルールに追加して介護職種の固有要件が定められており、受け入れ段階において特に代表的なものは上記の通りです。

技能実習生の日本語能力

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入国時点で日本語能力試験のN4(基本的な日本語を理解することができる)に合格していること(または 「J.TEST実用日本語検定」「日本語NATTEST」におけるN4相当に合格していること)が要件で、望ましい水準はN3程度とされています。

技能実習の前職要件と入国前講習

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技能実習制度本体では「団体監理型技能実習の場合は、以下のように定められています。
(1)従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること
(2)技能実習に従事 することを必要とする特別な事情があること

(1)のいわゆる前職要件については以下のようなケースが該当します。

  1. 外国における高齢者若しくは障害者の介護施設等において、高齢者又は障害者の日常
     生活上の世話、機能訓練又は療養上の世話等に従事した経験を有する者
  2. 外国における看護課程を修了した者又は看護師資格を有する者
  3. 外国政府による介護士認定等を受けた者

入国後講習

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介護職種の場合、日本語科目について240時間以上(N3取得者の場合は80時以上)、介護導入講習について42時間以上の講義を行う必要がありますが、入国前講習において各科目の所定時間数の2分の1以上の時間数の講義を行った場合には、入国後講習において2分の1を上限として各科目の時間数を短縮できます。

受入れ人数枠

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 受け入れ事業所単位で常勤介護職員の総数に応じて受け入れできる技能実習生人数枠の上限が設けられています。

例えば常勤介護職員が41~50名の事業所で受け入れできる技能実習1号の人数上限は「5名」です。(団体監理型で一般の実習実施者の場合。) 

【介護職】技能実習生と特定技能どちらが

よいのか!?

★技能実習生のメリット

転職ができないので雇用が安定する

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まず、技能実習のメリット1つ目は「転職がない」ということです。技能実習は、日本政府(外国人技能実習機構)が、特定の事業者(事業所)において、特定の技術を習得する目的で外国人に日本在留を許可するというスタイルです。ですから、仕事の種類(作業)も就業場所も自由に変えることができません。

つまり、転職という概念がないのです。

事業者様の一番の悩みは、離職率が高いことです。

採用しても、採用しても、辞められてしまう。その繰り返しに困り果てている事業者は少なくありません。

事業者様の声を聞くと、離職率が30%、35%というお話もよく聞きます。そうなると、事業者様の人事部は、年中採用活動に忙殺されます。そのような状況の中、「転職」という概念がない技能実習は、事業者様にとっては大きなメリットを感じるようです。

対して特定技能においては、原則として転職は許されています。(特定技能を受け入れることを許可されている事業所に転職可能です)多大な費用・手間・時間を費やして外国から招き入れた外国人に、一瞬のうちに転職されてしまうとしたら、それは事業者様にとっては「絶対に避けたいこと(デメリット)」と映ることが多いようです。

つまり、転職があるかないか、という観点で言えば、特定技能よりも技能実習に軍配が上がります。

面接候補者が集まりやすい

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2つ目のメリットは「面接を受けたい候補者が多い」ということです。

介護職種の特定技能は「日本語評価試験」「介護日本語評価試験」「技能評価試験」3つの試験に合格しなければ日本に行くことが出来ません。これが日本で働きたいと思っている外国人の前に立ちはだかるハードルとなるため、面接候補者が集まりにくいというデメリットがあります。 対して、介護技能実習は日本語能力試験(NAT-Test)4級に合格すれば日本に行けます。3つの試験に合格しなければならない特定技能よりも、ミャンマー人にとっては日本に行くためのハードルが低く魅力が高いと言えます。 

在留期間が長く、最大で合計10年働ける

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3つ目のメリットは「合計10年日本で働ける」ということです。技能実習は最長5年です。
しかし、技能実習2号まで(実習期間3年)実施していれば、無試験で特定技能1号に移行することができます。特定技能1号では5年働くことができるため、技能実習を3年実施した後、特定技能1号へ在留資格を変更すれば、技能実習期間と合わせて合計8年働くことができます。また、技能実習3号まで(実習期間5年)実施した後、特定技能1号へ在留資格を変更すれば、最大で合計10年働くことができます。

一方、特定技能については、現状介護職種は特定技能2号への移行対象ではないため、1号期間のみの雇用となり、最長でも5年の雇用期間となります。これが、5年以上の長期雇用を希望している事業者にとっては、デメリットと感じる部分となります。1人の外国人介護士をできるだけ長い期間雇用したい事業者様は、まず技能実習での受け入れを行い、特定技能1号へ在留資格を変更することで長期雇用が可能となります。

つまり、働ける年数で考えますと、特定技能よりも技能実習に軍配が上がります。

★特定技能のメリット

人員配置基準に配属後すぐに算入できる

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1つ目のメリットは、「事業所に配属後すぐに人員配置基準に加えることができる」ということです。

一方で、技能実習で外国人を雇用した場合は、実習生を事業所に配属してから、6ヶ月間は人員配置基準に算入できないことがデメリットとなります。

度重なる介護報酬の削減や人材不足などにより、経営状態が悪化している事業者様もあるようです。
そのような中で、外国人を雇っても、国から介護士として認めてもらえない(人員配置基準にカウントできない)ということは、つまり、もうひとり介護士を雇わなければならなくなるということです。

日本政府が技能実習において、6ヶ月間人員配置基準に含めないという判断をした理由は、EPA(経済連携協定)と同様な人員配置基準にしないと、EPA制度を利用する人たちから苦情が来るからと言われています。
この日本政府の判断は事業者にとってはとてもつらいものですが、すぐには覆すことはできません。

ですから、外国人介護士を配属後すぐに人員配置基準に入れたい、とおっしゃる事業者様は、特定技能を選ぶことになります。

つまり、人員配置基準の観点からは、特定技能に軍配が上がるということになります。

新設から3年間未満でも導入できる

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2つ目のメリットは、「新設の事業所でも外国人の雇用が可能」ということが挙げられます。

一方で、技能実習においては、施設開所後3年間は実習生の受け入れができないデメリットがあります。

特に事業展開を積極的に実施している事業者様においては、新設事業所で外国人介護士を受け入れることができないのは、とても困ることのようです。
なぜなら、新設事業所こそが一番人手を集めるのに苦労するからです。

ですから、新設事業所をお持ちの事業者様において、外国人の雇用をする場合は、特定技能を選ぶケースが多くなると思われます。

つまり、新設事業所で外国人介護士を導入できるかどうかにおいては、特定技能に軍配が上がるということになります。

初年度から常勤介護職員数まで採用できる

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3つ目のメリットは、「外国人介護士の雇用における受け入れ人数枠が大きい(雇用できる人数が多い)」というところです。 

技能実習においては、初年度は例えば1事業所の常勤介護職員数が60名の場合は、実習生を6名しか採用することができません。次年度になれば、最初の6名が技能実習2号に移行するため、技能実習1号の枠が空き、また追加で6名採用できます。3年目も同様で、二期生の6名が技能実習2号に移行しますので、技能実習1号の枠が空き、さらに追加で6名採用できます。
つまり、常勤介護職員数が60名の事業所においては、3年間で18名まで実習生が雇用できます。

対して、特定技能は初年度から、常勤介護職員の数まで一気に雇用ができます。

1号特定技能外国人の受け入れ人数枠は、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数を超えないこととされます。「日本人等」については、次に掲げる外国人材はそれに含まれます。

  • 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
  • 在留資格「介護」により在留する者
  • 永住者や日本人の配偶者など、身分・地位に基づく在留資格により在留する者

つまり「日本人等」の中には、技能実習生・EPA介護福祉士候補者・留学生は含まれません。

介護業界では、深刻な人材不足に悩んでおられる事業者様がとても多い状態です。いくら待っても人材が来ない。いくら費用をかけても人材が採用できない。
よい人材が採用できない。入社してもすぐに辞めてしまう・・・人材獲得に関する悩みは尽きないようです。

技能実習においては、受け入れ人数枠の制限が大きいので、外国人を採用したとしても、それでも職員が足りないという状況はすぐには解決できない場合があります。

したがって、人材不足に困っている事業者様は、常勤介護職員数まで一気に外国人を雇用できる特定技能を選ぶことになります。

つまり、採用できる人数枠(受け入れ人数枠が大きいかどうか)においては、特定技能に軍配が上がるということになります。 

御社が求める介護人材とは

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